大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
死神の正体もわからぬまま、志乃の死神の家での生活が始まった。
死神の家の朝は早い。
まず一番の仕事は、仏間の清掃からはじまる。
志乃は仏間の障子を開けると、朝日の差し込む中、軽く部屋の掃き掃除を始めた。
初めてこの仏間に案内された日、志乃はその豪華な仏壇にも圧倒されたが、何より驚いたのが位牌の多さだった。
「どれだけご先祖様がいたら、この数になるのよ」
呆れる志乃に五木が横から顔を覗かせる。
「こちらでは月命日には、お庭の花を摘んで供えておりますので、お忘れなきように……」
志乃はじっとりと五木の顔を睨みつける。
これだけの位牌の数だ。
命日が重なることがあったとしても、ほぼひと月のすべての日にちを網羅していそうだ。
「つまりは毎日が月命日ってことね」
「いえいえ、時にはそうでない日もございますよ」
ため息をつく志乃に、五木はフォッフォッと楽しそうな声を出したのだ。
志乃は庭に出ると、仏壇に供えるための花をいくつか見繕う。
今時期は花菖蒲が見頃を迎えていた。
死神の家の朝は早い。
まず一番の仕事は、仏間の清掃からはじまる。
志乃は仏間の障子を開けると、朝日の差し込む中、軽く部屋の掃き掃除を始めた。
初めてこの仏間に案内された日、志乃はその豪華な仏壇にも圧倒されたが、何より驚いたのが位牌の多さだった。
「どれだけご先祖様がいたら、この数になるのよ」
呆れる志乃に五木が横から顔を覗かせる。
「こちらでは月命日には、お庭の花を摘んで供えておりますので、お忘れなきように……」
志乃はじっとりと五木の顔を睨みつける。
これだけの位牌の数だ。
命日が重なることがあったとしても、ほぼひと月のすべての日にちを網羅していそうだ。
「つまりは毎日が月命日ってことね」
「いえいえ、時にはそうでない日もございますよ」
ため息をつく志乃に、五木はフォッフォッと楽しそうな声を出したのだ。
志乃は庭に出ると、仏壇に供えるための花をいくつか見繕う。
今時期は花菖蒲が見頃を迎えていた。