大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
それからも黙々とおにぎりを握り、気がついた頃には数えきれないほどの“おにぎり弁当”が目の前に出来上がっていた。
「旦那様は、こんなにたくさんのおにぎりを、どうされるのですか?」
志乃が顔を上げると、五木は出来立ての弁当を、竹で作られた四角い籠に詰めているところだった。
「旦那様は定期的に、ある所に届けられているのです。心待ちにされている方も、おりますからなぁ」
「ある所……?」
この弁当を心待ちにしている人たちとは、どういう人なのだろう?
志乃が不思議そうに首を傾げていると、五木が「そうそう」と声を出す。
「これを志乃様の妹様たちに。旦那様からのお土産でございます」
そう言って五木が志乃の手にのせたのは、何やらアルファベットが書いてある小さな紙の箱だ。
「これは?」
「チューインガムというお菓子だそうですよ。噛んで味を楽しむものだと言っておりました。とても甘いのだそうで、きっと妹様たちも喜ばれるでしょう」
「チューインガム……? そんな珍しいものを妹たちに。良いのでしょうか?」
「はい。どうぞお持ちください」
志乃はまじまじとその色彩豊かな、外国の絵が描かれた箱を見つめる。
「旦那様は、こんなにたくさんのおにぎりを、どうされるのですか?」
志乃が顔を上げると、五木は出来立ての弁当を、竹で作られた四角い籠に詰めているところだった。
「旦那様は定期的に、ある所に届けられているのです。心待ちにされている方も、おりますからなぁ」
「ある所……?」
この弁当を心待ちにしている人たちとは、どういう人なのだろう?
志乃が不思議そうに首を傾げていると、五木が「そうそう」と声を出す。
「これを志乃様の妹様たちに。旦那様からのお土産でございます」
そう言って五木が志乃の手にのせたのは、何やらアルファベットが書いてある小さな紙の箱だ。
「これは?」
「チューインガムというお菓子だそうですよ。噛んで味を楽しむものだと言っておりました。とても甘いのだそうで、きっと妹様たちも喜ばれるでしょう」
「チューインガム……? そんな珍しいものを妹たちに。良いのでしょうか?」
「はい。どうぞお持ちください」
志乃はまじまじとその色彩豊かな、外国の絵が描かれた箱を見つめる。