大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
死神は、誰かのために弁当を用意し、志乃の妹たちをも気づかうような人……。
でもその一方で、街の人からは恐れられ、事実仏壇には数えきれないほどの位牌が置いてある。
――旦那様とは、いったいどのような方なの……?
志乃の中で何かが、ことりと音を立てた。
死神に対する印象が、どんどん変わっていくのだ。
――旦那様にお会いしてみたい……。
そう思った途端、志乃の中でその気持ちは、みるみる大きく膨らんでいく。
実際に会って、死神がどのような人なのか確かめたい。
志乃はたまらずに、出かける支度を始めた五木に駆け寄った。
「あの、五木さん……」
志乃は手に持った小箱を、大切そうにぎゅっと胸に当てる。
「私を旦那様に、会わせてくださいませんか? ぜひ、直接お会いして、お礼がしたいのです」
志乃の切羽詰まったような真剣な表情に、はじめ五木は驚いたように目を丸くしていたが、しばらくして静かに首を横に振った。
「それは私の一存では、決めかねるのでございますよ。旦那様がいつお戻りになるかも、私はわからないのです」
五木の声に、志乃はしゅんとして頭を下げる。
妻になったというのに、一度も顔を会わせず、これでは本当にただの使用人ではないか。
でもその一方で、街の人からは恐れられ、事実仏壇には数えきれないほどの位牌が置いてある。
――旦那様とは、いったいどのような方なの……?
志乃の中で何かが、ことりと音を立てた。
死神に対する印象が、どんどん変わっていくのだ。
――旦那様にお会いしてみたい……。
そう思った途端、志乃の中でその気持ちは、みるみる大きく膨らんでいく。
実際に会って、死神がどのような人なのか確かめたい。
志乃はたまらずに、出かける支度を始めた五木に駆け寄った。
「あの、五木さん……」
志乃は手に持った小箱を、大切そうにぎゅっと胸に当てる。
「私を旦那様に、会わせてくださいませんか? ぜひ、直接お会いして、お礼がしたいのです」
志乃の切羽詰まったような真剣な表情に、はじめ五木は驚いたように目を丸くしていたが、しばらくして静かに首を横に振った。
「それは私の一存では、決めかねるのでございますよ。旦那様がいつお戻りになるかも、私はわからないのです」
五木の声に、志乃はしゅんとして頭を下げる。
妻になったというのに、一度も顔を会わせず、これでは本当にただの使用人ではないか。