大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~

変化していく心

 志乃は荷物を抱え直すと、死神の屋敷に戻るため、奥にそびえる竹林を目指して足を進める。

 昨日、久しぶりに見た母の顔色はとても良く、田所先生からもかなり快方に向かってると説明を受けた。

 二人の妹も元気そうで、特に華はしばらく見ない内に、また背が伸びたようだった。

 藤は相変わらず甘えん坊な様子だが、ここ最近は夜中でも華を起こさずに、一人でトイレに行けるようになったらしい。


 久しぶりの実家はやはり温かく、志乃の心を和ませた。

 妹たちは現金なもので、最初でこそ志乃の顔を見て涙を流しながら飛びついてきたが、土産物を見た途端、きゃあきゃあと騒いでうるさいほどだった。

 志乃が家を出てからは、家族の世話は隣のおばちゃんがしてくれている。

 志乃は、おばちゃんにお礼を言い、土産物と一緒に死神からもらっている現金の中から十分な額をおばちゃんに渡した。

 おばちゃんは申し訳なさそうにしていたが、そういうことはきちんとしておいた方が後々良いと、五木に助言されていたのだ。


 一晩家で過ごした志乃は、妹たちを学校へやった後、母に見送られながら再び死神の家へと戻って行った。
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