大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
そんな母を見ていたからこそ、志乃はできる限り母を助けたいと思っているし、それが長女である自分の務めだと思っている。
「急がなきゃ……」
多くの人が行き交う道を、下駄を鳴らしながら縫うようにして足を進める。
そこで焦ったのがいけなかった。
志乃は道行く人の肩にぶつかり、身体を大きく跳ね飛ばされてしまったのだ。
――あぁだめ……。
小さな悲鳴を上げながら倒れることを悟ったその瞬間、志乃の身体は背の高い男性の腕に抱きかかえられていた。
咄嗟に顔を上げた志乃は、驚いた様子で志乃を見下ろす男性の顔を見て、思わず息を止める。
なんと麗しい男性なのだろう。
透き通るような白い肌に、印象的な切れ長の目。
まるで夢二の美人画かのように美しい男性に、時も忘れて見とれてしまった志乃は、はっと我に返ると、慌てて男性の腕から飛び跳ねるように離れた。
「も、も、申し訳ございませんっ」
志乃は勢いよく頭を下げると、膝に額をこすりつけそうなほど身体をかがませる。
「急がなきゃ……」
多くの人が行き交う道を、下駄を鳴らしながら縫うようにして足を進める。
そこで焦ったのがいけなかった。
志乃は道行く人の肩にぶつかり、身体を大きく跳ね飛ばされてしまったのだ。
――あぁだめ……。
小さな悲鳴を上げながら倒れることを悟ったその瞬間、志乃の身体は背の高い男性の腕に抱きかかえられていた。
咄嗟に顔を上げた志乃は、驚いた様子で志乃を見下ろす男性の顔を見て、思わず息を止める。
なんと麗しい男性なのだろう。
透き通るような白い肌に、印象的な切れ長の目。
まるで夢二の美人画かのように美しい男性に、時も忘れて見とれてしまった志乃は、はっと我に返ると、慌てて男性の腕から飛び跳ねるように離れた。
「も、も、申し訳ございませんっ」
志乃は勢いよく頭を下げると、膝に額をこすりつけそうなほど身体をかがませる。