大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
バタバタと足を鳴らして駆け込むと、炊事場では五木がすでに食事の準備を始めていた。
「い、五木さん!」
志乃は息を切らしながら声をかける。
味噌汁の味見をしていた五木は、驚いた様子で振り返った。
「志乃様、どうなさいました? そんな慌てた様子で」
「こ、これを。このチラシと一緒に、着物が部屋の前に置いてあったのです」
志乃がチラシを差し出すと、五木は腰紐にかけた手ぬぐいで手を拭きながら、まじまじと顔を覗き込ませる。
そして納得したように、大きくうなずいた。
「ほほう。港で行われる軍楽隊の演奏会ですか。志乃様、これを置いたのは旦那様ですな」
志乃は「やはり」と、小さく息をのむ。
「も、もしかして、旦那様も……こちらに行かれるご予定なのですか?」
志乃は伺うように五木の顔を見た。
「そのように聞いてはおりますが、まだはっきりとは……」
すると五木の話が終わらない内に、志乃はずいっと身を乗り出す。
「い、五木さん!」
志乃は息を切らしながら声をかける。
味噌汁の味見をしていた五木は、驚いた様子で振り返った。
「志乃様、どうなさいました? そんな慌てた様子で」
「こ、これを。このチラシと一緒に、着物が部屋の前に置いてあったのです」
志乃がチラシを差し出すと、五木は腰紐にかけた手ぬぐいで手を拭きながら、まじまじと顔を覗き込ませる。
そして納得したように、大きくうなずいた。
「ほほう。港で行われる軍楽隊の演奏会ですか。志乃様、これを置いたのは旦那様ですな」
志乃は「やはり」と、小さく息をのむ。
「も、もしかして、旦那様も……こちらに行かれるご予定なのですか?」
志乃は伺うように五木の顔を見た。
「そのように聞いてはおりますが、まだはっきりとは……」
すると五木の話が終わらない内に、志乃はずいっと身を乗り出す。