大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
死神の正体
良く晴れ渡った空の下、志乃は五木とともに港を目指していた。
軍楽隊の定期演奏会は、毎度大変な人気のようで、多くの人が同じように港を目指している。
耳に響くボーっという汽笛が次第に大きくなった頃、志乃たちはようやく会場についた。
「お暑うございましょう?」
五木はそう言うと、黒い日傘を志乃の上にかかげてくれる。
こんな風にされると、どこかの貴婦人になったようで心持ち恥ずかしかったが、五木がさしてくれた傘の下は日差しが遮られ、とても心地よかった。
志乃はそっと自分の姿を確認する。
今日は死神から贈られた水色の紗の着物に、白地に朱色で蜻蛉柄を表した帯を合わせた。
この着物を着ていれば、自分の存在に気がついてもらえるだろうか。
志乃は多くの人がごった返す会場で、辺りをぐるりと見渡す。
港には、ひときわ大きな軍艦が、旗を風になびかせながら停泊していた。
そのちょうど目の前に、これから演奏が披露されるであろう、舞台が用意してあった。
軍楽隊の定期演奏会は、毎度大変な人気のようで、多くの人が同じように港を目指している。
耳に響くボーっという汽笛が次第に大きくなった頃、志乃たちはようやく会場についた。
「お暑うございましょう?」
五木はそう言うと、黒い日傘を志乃の上にかかげてくれる。
こんな風にされると、どこかの貴婦人になったようで心持ち恥ずかしかったが、五木がさしてくれた傘の下は日差しが遮られ、とても心地よかった。
志乃はそっと自分の姿を確認する。
今日は死神から贈られた水色の紗の着物に、白地に朱色で蜻蛉柄を表した帯を合わせた。
この着物を着ていれば、自分の存在に気がついてもらえるだろうか。
志乃は多くの人がごった返す会場で、辺りをぐるりと見渡す。
港には、ひときわ大きな軍艦が、旗を風になびかせながら停泊していた。
そのちょうど目の前に、これから演奏が披露されるであろう、舞台が用意してあった。