大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
「なぜ、箏がここに……?」
志乃は思わず駆け入ると、箏の前に座り込んだ。
一目見ただけで上物とわかる箏は、音を奏でるのを今か今かと待ち望むように座している。
「なんて素敵な箏……。とても大切に手入れされている……」
志乃は思わずうっとりと箏を見つめた。
こんな上等な箏は、お師匠様の所でも見たことがない。
志乃は躊躇いつつも、箏の正面に回り込み腰を下ろした。
微かに震える手で、そっと一弦、上に引き上げ箏柱を立てる。
ぐっと強く弦が張られ、志乃は弦に親指をかけると、そのまま力を込めて弦を弾いた。
その瞬間、ピンとした音が室内に響き渡り、その音は志乃の全身を駆け巡る。
深く味わいのある音色が、この箏の持ち主を想わせる気がした。
「これは、どなたの箏なの……?」
志乃が小さくつぶやいた時、カサリと音がした気がして、志乃は慌てて顔を上げる。
開け放った入り口の障子からは、同じように開けた戸の先に庭が見えるだけで、他に変わった様子は見られない。
志乃は思わず駆け入ると、箏の前に座り込んだ。
一目見ただけで上物とわかる箏は、音を奏でるのを今か今かと待ち望むように座している。
「なんて素敵な箏……。とても大切に手入れされている……」
志乃は思わずうっとりと箏を見つめた。
こんな上等な箏は、お師匠様の所でも見たことがない。
志乃は躊躇いつつも、箏の正面に回り込み腰を下ろした。
微かに震える手で、そっと一弦、上に引き上げ箏柱を立てる。
ぐっと強く弦が張られ、志乃は弦に親指をかけると、そのまま力を込めて弦を弾いた。
その瞬間、ピンとした音が室内に響き渡り、その音は志乃の全身を駆け巡る。
深く味わいのある音色が、この箏の持ち主を想わせる気がした。
「これは、どなたの箏なの……?」
志乃が小さくつぶやいた時、カサリと音がした気がして、志乃は慌てて顔を上げる。
開け放った入り口の障子からは、同じように開けた戸の先に庭が見えるだけで、他に変わった様子は見られない。