その恋は消費期限付き
美奈の分のお皿を食卓に並べる。
「ここには隼人くん一人で住んでいるの?」
「うん。実家から高校まで5時間ぐらいかかるから」
「5時間! そんな遠いとこ、どうして通おうと思ったの?」
「親が名門高校に行かせようとしてきて、反発して喧嘩して。そのまま家出て一人暮らししてる」
「そうなんだ。親と仲直りしないの?」
「俺は自分の人生は自分で決めたい。親とはいえ、誰かにどうこう言われて決められたくないんだ」
「……そうだよね。周りに運命を決められてて、それに逆らえないって嫌だよね」
少しの沈黙の後、独り言のようにポツリと呟かれた声はどこか寂しさを含んでいた。
泣きそうで、でもそれを必死に堪えているような、そんな表情の美奈。
〝何かあったの?〟なんて気軽に聞いていい雰囲気じゃないことだけは分かった。