父(とと)さん 母(かか)さん 求めたし
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およねが漆喰紙、反故紙、墨、硯、水差しそして筆を抱えて座敷に戻ってきた。
丑丸はそれらを受け取ると、まず何枚もの反故紙を重ねて辺り一面に広げる。
張り替えて間もない青々とした畳を墨で汚さないようにするためだ。
その上に漆喰紙と硯を置く。
漆喰紙は手習い(習字)の稽古などで使う廉価な和紙で、書き損じて不要になったのが反故紙となる。
それから、水差しから硯に水を垂らして墨をすっすっと滑らせた。
やがて、ちょうど頃合いの墨の濃さになると筆の穂先に含ませて漆喰紙に向かう。
そして、丑丸は一気呵成に書き上げた。
「ととさん かかさん もとめたし」