副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
「あ、わり」
そう言って頭をあげた。
私は首を横に振った。
「どうした? 震えてる」
そう言って私の手を大きな手で包み込むように掴んで心配そうな顔を向けた。
「あの…ちょっとだけ、昨日の事を思い出しちゃって…」
「那智…」
絃くんは私を見つめたあとギュッと抱きしめてくれた。
「怖かったよなやっぱり。あのさ…物件なんだけど…」
「私も今見てたの。そしたら案外いいところなくて…でももうあそこには戻りたくないって思って…」
「ああ。俺も探してたんだけど…そうなんだよ。ごめんな」
絃くんが身体を離して私の手を握る。
「それでなんだけど、もしよかったらここに住まないか? 部屋もあるし、距離もそんなに変わらないし。嫌じゃなかったらだけど」
「え? 迷惑じゃないの?」