副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
家に帰ると那智は既に帰ってきていてシャワーを浴びているようだった。

俺がいないと思って鼻歌まで歌ってる。
何気に上手いし。

本当よくこれまで隠してきたよな。
あの前髪とメガネはどんだけ厚い壁だったんだよ。

コンプレックスという高く分厚い壁があった那智。
でも乗り越えられたのかな。

俺は乗り越えられない壁はないと親父から教えてもらった。
そして乗り越えた先は、その壁が自分を守ってくれると。
だから人は強くなるんだと。

最近の那智は本当によく笑うようになった。
その顔がまた可愛いのなんのって。
俺の周りをチョロチョロしてんのもたまらん。

よくよく考えたら俺の周りの女はみんなデカい。
だから余計にあの小さいのが可愛く見えるんだろうか。

自分の気持ちを自覚した今、那智の姿を思い出すだけでニヤけそうだ。

「那智、ただいま」

「あ、絃くん! おかえりー」

はぁ。ほっこりするわ。
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