副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
繋がる気持ち
〜那智side〜

絃くんと一緒に住んでから少したった頃、仕事帰りに本屋に寄った帰り、一人の女性に話しかけられる。

あ、この人。
絃くんの事引っ叩いた人だ。

「あんた、誰? 絃の何?」

「え?」

「あんた、あの時絃の車に乗ってった子よね?」

見られてたんだ。

「いや、まぁ…」

「ずいぶん垢抜けちゃって。ふふふ。今更頑張ってる感じ? 似合ってないわよ?」

なんかデジャヴだ。
これ高二の時にも味わったわ。

"ただのひがみじゃん"

美空の言葉を思い出した。
そうだよ。
あの美空と大地さんがしてくれたんだから自信持って。

"前向いてろ。堂々としとけばいい"

絃くんの言葉も思い出す。

大丈夫。
知らない人の言葉よりも、皆んなの言葉を信じよう。

私は前を向いてニコっと笑って見せた。

「な、なによ! ちょっと美人だからって!」

私は何も言わずにニコニコとして見せる。

「あなたも、お綺麗ですよ」

この人も普通に綺麗だ。
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