副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
「那智、わりぃ。何か他にも言われたか?」

「いや…まぁ…でも大丈夫。うん、結構大丈夫」

思ったより見た目を言われた時のダメージはない。
それより、絃くんがあんなにはっきり彼女じゃないと答えていたのを聞いた時の方がダメージが強かった。

最近の絃くんは前にも増して優しくて、なんかどこか私を見る目が甘いようで。
だからもしかしたら…なんて思ったりもしてたから。

「そっか。帰ろうか」

「う、うん」

家に帰ると絃くんにソファに座るように言われる。

「那智。ごめんな?」

私は首を横に振った。

「絃くんこそ大丈夫? あんなの気にしちゃだめだよ? 金持ちだとか顔がいいだけとか。絃くんはそれだけじゃないよ」

「那智…」

「腹立つ」

めちゃくちゃ。
絃くんを悪く言うな。

「俺さ、前もチラッと話したけど…。女関係だらしなくて。今は全部切ったんだけど、まさか今更那智にあんな…」

「全部切った? とは…」

「身体だけの関係の奴とは、縁を切ったんだ」

「な、なんで?」

「本気で好きな女が出来たから」

え…
さっきもそれで?
だから嘘でも彼女と言わなかったし、勘違いされて勘弁してくれって言ったの?
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