副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
「それなら私早く出て行かなきゃ! ごめんね絃くん。全然気づかなくて。なんだよ、もっと早く言ってよ!」
私は慌てて立ち上がる。
すると絃くんも立ち上がり私を後ろから抱きしめた。
すっぽりと収まってしまって動けない。
「ダメだよ絃くん。こんな事したら。好きな人いるんでしょ?」
「いるよ。めっちゃ好きな女」
「離して」
「無理」
「絃くん!」
「笑うと可愛いくて。美人。真面目で。仕事もできる」
「聞きたくない…」
聞きたくないよ。
他の人の事なんて!
「地毛が茶色くて、瞳はヘーゼル。吸い込まれそうなくらい綺麗で、高校の時は図書委員をしてて、メガネと前髪でその綺麗な顔を隠してた。
俺は気づいてた。原石を見つけたって思ってた。俺だけの原石だって。
本が好きで、マンガもアニメも。
ヨガはプロ並みだし。
それでいて空気みたいな女。
俺は、そいつが好きで仕方ない。いなくなったら息も吸えない」