副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
「お前らみたいな下品な女。そもそも見た目も中身も歪んでるから振られたんだろ。那智にこれ以上迷惑かけるなら俺が許さねぇぞ」
笑顔で二人の耳元に言ってやる。
「んな!? あんた誰よ! ちょっと顔がいいってだけでなんやねん!」
「鏡見てみろ。ひでぇ顔してんぞ?」
ニッと笑って見せる。
「はぁ?」
「何か文句があるなら、こちらまで。それでは失礼します」
俺はまた姿勢を戻し、そう言って名刺を置いて立ち去った。
外に出ると、店の前の端っこでこちらに背中を向けて立って待っている那智を見つける。
「那智、お待たせ。行こうか」
「あ、うん。はい」
那智にテイクアウトしたドリンクを渡される。
まだ元気ないな。
「ありがと。那智、気にしなくていい。前向いて、ほら。大丈夫だから」
ポンと頭を撫でる。
「絃っ…。やっぱりさっきの聞こえてたよね?」
「なんも。あんな下品な奴ほっとけ。ただのひがみだ」
「げ、下品って」
「性格の悪さが見た目に出過ぎてて笑うわ。周りの客も迷惑そうだったしな」