副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
そして、特にその後も私と彼の距離は何も変わらずあっという間に卒業式の日になった。

私はいつものようにカウンターで一人本を読む。

三年生は既に自由登校でもう学校には来ていない。
彼と最後に昼休みを過ごしたのはいつだっただろうか。

相変わらず何も話さず通り過ぎて行った日が最後だったかもしれない。

最後の最後まで、何もなかった。

それでいい。

彼にとって、少しでも安らげる場所になっていたなら図書委員としてしっかりと仕事が出来たのではないだろうか。

するとガラっと扉が開いた。

「あ、いた」

え?
彼だ。

「あ、卒業おめでとうございます」

「はは、ありがと。那智ちゃん、ありがとな。おかげでここにいる時はゆっくり出来たよ。それだけ言いたくて。それじゃ、元気で。図書委員、頑張ってな。あ、妹の事もこれからもよろしく。じゃ」

彼はそれだけ言ってまたガラっと扉を閉めて行ってしまった。
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