副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
私はしばし放心状態になり彼が出て行った扉を見たまま止まってしまっていると、またガラっと開く。

今度は何!?

「あ、あと、前髪切ってメガネ外せ。 せっかくかわいいのにもったいないぞ」

また彼は顔だけだしてそう言ってニッと笑うと行ってしまった。

は?

「はぁー!?」

私は驚きのあまり物凄く大きな声で叫んだ。

「ごめーん!」

扉の向こうから笑いながら彼が叫んだのが聞こえた。

まだ近くにいたらしい。

私は両手で頬を覆う。
顔が熱い。

か、かわいいって言った!?

ドクンドクンと高鳴る鼓動が鼓膜を刺激する。
脳まで脈打ってるみたいだ。

そして私はその日のうちに、言われた通り長く目にかかりそうな前髪を切った。
メガネも外した。

春休み明け、内心こんな自分の姿にドキドキしながら登校する。
心なしか見られている気がしてしまう。

二年生になってクラス替えをして維織ちゃんとは離れてしまった。
あの美人達とも今回は一緒じゃない。

私はまたぽつんと一人黙って席に着く。

するとヒソヒソと声が聞こえてきた。
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