副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
「絃ー! できたー! 送ってってー!」

維織が叫ぶ。

「はいはい」

そう言いながら携帯に視線を向けたままリビングに戻って来た。
そして絃が顔をあげて私を見た。

「んなっ!?」

バッと口を押さえる絃。
なんだ?

「へ、へん?」

絃の前まで行って尋ねると、絃は何故かそっぽを向いたままこっちを見ない。

「絃?」

「美空、維織。お前らなぁ…」

私の事は見ないまま美空たちを何故か睨んでいる。

「ダハハハハ! 可愛い過ぎてヤバいんでしょー。はぁーおかし! さ、送ってってー」

そう言って二人は玄関に向かって歩き出した。

絃は諦めたようにため息をはく。

「那智」

二人について行く私を呼び止める。

「ん?」

「お前、可愛いすぎ。本当に。気をつけろよ? アイツらから絶対離れんな。いいな?」

「あ、うん。わ、わかった」

あまりの剣幕にイエスしか言えない。
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