副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
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「ここ? ホテル?」

私は絃に連れてこられた建物を見て立ち止まる。

「ここ、レジデンスな」

「凄い! 素敵!」

そこは白亜の壁と南国風の植栽に囲まれた素敵な所だった。

「ここは親父と、丈慈の親父が建てた」

「てことはここが皆んなの家?」

「そう。奏翔と音羽の実家はアレ」

そう言ってすぐ近くに立つタワーマンションを指差した。

「す、すごっ。ちかっ」

「行こう」

絃は私の腰に手を添えて部屋へと向かう。
ドキドキする。
一体どんなご両親なんだろう。
絃と維織を見ていれば素敵に違いない事はわかるけど、緊張するには変わらない。

絃がインターホンを押すとすぐにバン! とドアが開いた。

「キャー! いらっしゃーい!」

そこには、お姉さん?
お姉さんいたの?

驚いて声も出ないでいると絃がすかさず私の前に立った。

「お袋、落ち着け。那智が驚いてる」

お、お袋?
お袋って言ったか!?
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