副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい


「維織にも高校ん時から散々言われてたんだ俺」

「維織?」

「ああ。維織も那智の事好きだったろ。隠れファンだとか言ってよ。だから、変な事すんなよって釘刺されてたんだよ。しかも家に泊めてるって知った時も、私が預かるって言われて」

「え? そんな話ししてたの?」

「ああ。それで嫌だって思った。連れて行かないでくれって」

キュッと手を握られる。

「それで気づいたんだ。惚れてるって。もう離せないって」

「絃…」

「ありがとうな。結婚してくれて。こんな風に過ごせるなんて夢じゃないかと思うんだ本当に」

私は堪えきれず絃に抱き付く。
私達の腕の中では二匹がいつの間にかぐーすか眠っていた。

「ずっと俺のそばで笑ってて。俺にとってそれが全てだから。卒業して10年以上経った今、こうして那智と結婚できた事がもう奇跡なんだ」
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