副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい

そして行きつけの本屋に立ち寄る。
気になっていた文庫本を手に取り今度はビジネスコーナーへと向かう。

一冊のビジネス紙を何気なしに手に取りペラペラとめくる。私の手はとあるページで止まった。

え…
この人って…

そこにはスーツをビシッと着こなしモデルさながらの佇まいで写真に収まる物凄いハンサムな男性がいた。

"藤崎建設　副社長　藤崎　絃（31）
若き実力派　一流建築デザイナー"

あの絃先輩だ。
藤崎建設って…。
私でも知ってる。
そこの御曹司だったんだ。

私は記事もろくに読まずにパタンと閉じて本棚に戻した。

手にしていた文庫本をレジに持っていって会計を済ませると本屋を出た。

彼はあんな雑誌に取り上げられるほどの実力を兼ね備えた立派な大人の男性になっていた。

もともと大人っぽかったけど、歳を重ねてますますカッコ良さに磨きがかかっていた。

あんな人と私は呑気に昼休みを図書室で過ごしていたのか。

もう10年以上もたつのに。
今さら彼の正体を知る事になるとは。