副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
「おはようございます」

「おはようございます」

金子くんはすでに席に着いている。

「あの、塩田さん」

何を言われるのやら。
金子くんを見れば、予想に反して何も言わない。
でもじーっと見られる。

「な、なに」

「いや、なんでもないっす。俺だけ知ってるって最高っす」

とかなんとか言ってパソコンに向かい始めた。
なんだ?

どゆことやねん。

それから数週間が過ぎ、季節は春から梅雨の時期に変わった。

今日も雨。昨日も雨。明日も雨。
もうずーっと雨。

いい加減、髪も切りたくなってきた。

仕事が終わっていつものように雨の中傘をさして歩いていると、路肩に止めた車の横で何やら揉めてるカップルを前方に発見する。

私からは男性の顔は見えないが、モデルのようなスタイルで高級そうなスーツを着ている。

傘もささずにこりゃ大変だ。
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