副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい


呑気に眺めているとその時女性がなんと強烈なビンタを男性にくらわしたのだ。

ありゃりゃ。
ドラマか?
なんかの撮影でもしてんのか?

辺りを見てもカメラマンはいない。

リアルなやつだ。

わーお。

すげー。
初めて見た。
これが修羅場というやつですね。

女性は何か言い捨て走り去っていった。

そこで男性は追いかける!

あれ?
追いかけない。

えー?
ここは追いかけて後ろから抱きしめて仲直りーじゃないの?

すると男性が車に乗り込もうとしてこちらを向いた。

「絃…先輩?」

私は声に出してしまった。

すると彼は私を見た。
目が合う。

彼はそのままジッと私を見ている。
雨も滴るいい男ってやつだ。
でもこれ絶対私の事なんて忘れてる反応だわ。

でもこのまま濡れて風邪でも引いたら仕事に支障をきたすんじゃ…

私は何も言わずにそっと近付くと、黙って傘を渡した。
背が高いから傘を持つ手は結構上げないと頭がぶつかってしまいそうだ。

私は別に風邪を引いて休んだ所で私の代わりはいくらでもいるが、この人は違う。

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