副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
「誰?」

ガンと鈍器で殴られた気がした。
だよね、覚えてるわけないよね。
わかってはいたけどショックだ。

私は更に傘をグイっと彼に押し付け走り出した。

すると、手を引っ張られる。

え!?

そして振り向くと傘に入れてくれている。

「うそうそ。ごめん。図書委員の那智ちゃん」

そう言って、さっき女性から殴られた人とは思えないような笑顔を私に向けた。

覚えてたの…?

「覚えて…たんですか?」

「ああ、とりあえず車乗んない? みんな見てるし」

そう言われて周りを見れば確かに注目を集めてしまっている。

私はコクコクと頷いた。

「こっち」

そう言って、すぐ隣に横付けされているこれまたすんごいでっかい白の外車に乗せられた。
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