副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
「いやー、濡れちまった」

先輩はそう言って髪を掻き上げた。
私は持っていたハンカチをそっと差し出す。

「よかったら…」

「ああ。大丈夫。ありがとう、濡れちゃうからいいよ。俺の家近いし」

そうだったんだ。
この辺りに住んでたんだ。

めっちゃ近所やんけー。

「送ってくよ。家どの辺?」

「あ、近いので大丈夫です!」

「まぁ、そう言わずに」

これ以上断るなよとそう言ってるような目で見られる。

「それじゃ、すみません。お願いします」

そう言って行き先を告げる。

「おけ。しかし悪いな変なの見せて」

それにしてはケロっとしている。

「大丈夫ですか?」

「ああ。別になんともない」

「そうですか」

「俺をブランドか何かだと思ってるような女ばっかだから」

え…
なんか彼らしくないな。

「あの…壁だと思って愚痴ってもいいですよ。ご存知の通り存在消すの得意なんで」




< 36 / 264 >

この作品をシェア

pagetop