副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
俺がここで休んでいる事誰にも言うなよ。と言おうと思ってやめた。
何故だか彼女は言わないと思ったから。
夢中になって本を読んでいる彼女の邪魔をしたくなくて俺は何も言わずに図書室を出た。
ははは。
目の前を通ったのに見向きもしねぇ。
あんな奴、初めてだ。
そして次に行った時も、全く同じだった。
目が合う事もあったがやっぱり話しかけて来ない。
図書室を出る時、当番の担当のプレートを見る。
"塩田 那智"
那智って名前なんだ。
そんな感じで俺には全く害のないそんな奴。
そしてある日、妹の維織が珍しく弁当を忘れて行ったので教室まで届けに行った。
廊下を歩けば案の定、三年の俺が何のようだとギャラリーが騒ぐ。
うるせぇ。
維織の教室まで行ってぐるっと見渡す。
あ。
那智だ。
維織と同じクラスだったんだ。
危うく話しかけそうになってやめた。