副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
「ククククっなんでもない」

俺だけが知ってればいい。
何故かそう思った。
そして前髪を戻しメガネをつけてやる。
上手に隠れてんな。

「それじゃ、また。塩田那智ちゃん」

そう言って図書室を後にした。

その夜、ご飯を食べたあとお袋と親父はドライブデートしてくるとか言ってルンルンで出かけて行った。

相変わらず仲がよろしいようで。

「ねぇ」

ソファに横になる俺に維織が話しかけてきた。

「ん」

「今日、うちのクラス来た時見てたでしょ」

「なにを」

俺は携帯を触ったまま返事をする。

「那智ちゃんだよ!」

は?
なんでそれを?
バッと維織を見てしまう。

「可愛いよね。めちゃくちゃ美人だし」

そしてまた携帯に視線を戻した。

「まぁ」

「変な事しないでよ?」

「は? しねーよ」

「うちら隠れファンなんだから」

なんだそれ。









< 47 / 264 >

この作品をシェア

pagetop