副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
「那智ちゃん、たぶん目立つの嫌いなんだよね。しかも、たぶん顔隠してる」

ああ。それは俺も思った。

「だから静かーに見守ってるの」

なるほどな。
確かに、顔出したらありゃ目立つだろうしな。

「絃、目立つんだから人前で美人だからって那智ちゃんに話しかけたりしないでよ?」

「しねぇよ」

なんだ、維織も那智が綺麗な事気づいてたのか。
俺だけだと思ったのにな。

その後も俺も那智も変わらず過ごし、あっという間に卒業式になった。

この一年、結局那智は誰にも言わずにそっとしててくれた。

おかげで騒がしい高校生活の最後を気持ちよく送れた。
あいつのおかげだ。

だから俺は最後にちゃんとお礼を言おうと思って、いるかもわからないのに学校に戻り図書室へと向かった。
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