副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
「かんにんえ」

もうショボショボと縮こまる私。
顔も暑い。

「その辺にしとけ」

先輩が助けてくれる。

「あはは! ごめんごめん。気にしないでね」

そしてその後もやいやい会話も弾み、すっかり遅くなってしまった。

維織は美空と大地さんと帰るらしく、三人は仲良く並んで帰って行った。

「那智、送ってく」

「え? でも…」

「俺ノンアル」

そうだったんだ。

「それじゃお願いします」

私は素直にペコリとお辞儀をした。

「奏翔んじゃな」

「おう。またおいで、那智ちゃん」

「ありがとうございます。ごちそうさまでした。それじゃ失礼します」

奏翔さんにもペコリ。
これでよし。

先輩はそんな私を見下ろしてフッ笑うと店を出た。

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