副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
「あ、絃くん。ところで何の用だったの?」

那智は荷物を纏めながら聞いてくる。

「いや。まぁ…元気してっかなって」

何故か気になって仕方なかったと言えなかった。

「元気だったよ。会社もね、案外大丈夫だった」

それが聞きたかったので、那智から言ってくれて助かった。

「そうか」

良かった。

「よし。終わったよ。お待たせしました」

「行くか」

俺は那智が準備した荷物を手から取る。

「あ、ありがとう」

「ん」

「絃くんて優しいよね」

那智が歩きながら俺を見上げてそんな事言ってきた。

「別に普通だろ」

「あ、そっか。維織ちゃんいるし、面倒見いいのか。ふふふ」

お前別に妹じゃねぇだろ。
勝手に兄貴にすんな。

俺は車のトランクに荷物を乗せると助手席を開けてやる。

「ありがとう」

那智はニコっと微笑むとひょいっと軽やかに乗り込んだ。
何回か飛び乗るの見たけど絶対運動神経いいやつだ。
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