副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
俺も運転席に乗ると、シートベルトをつけて車を出した。

今日は金曜日。
俺は土日は休みだ。

「那智は、土日仕事か?」

「ううん。休みだよ」

なるほど。

「そうか」

「明日にでもさっそく物件探しに行ってみるね」

「それなんだけど、俺に任せてくんね?」

「え?」

「お前、俺の仕事知ってる?」

那智は"あっ"と口を開ける。

「ははは。忘れてたろ」

「ごめん、忘れてた。そういえば少し前にビジネス誌で見たんだよね。絃くんの事」

「どれだ?」

いろいろ出てるからどれだかわからん。

「なんかスーツ着てカッコ付けてた」

そう言って笑ってる。

「おい。笑うな。カメラマンがうるさいんだよああいうのは」

ったくよ。

「ふふふ。でもカッコ良かったよ。その時知ったんだよね。仕事の事も」

高校の時は知らなかったのか。
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