副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい


「努力してんじゃん。明日とか、買い物行くか?」

「え!? いいの!? ちょうど行きたいと思ってたの!」

「そうか」

「あ、でも絃くん忙しいんじゃ…」

「俺も休みだから」

那智はパァっと花が咲いたように笑ったのが運転しながらの横目でもわかった。

「やったー! ありがとう」

「おん」

俺は前を向きながら返事をする。

「絃くん。今日も…ありがとう。タイミング悪くてごめんね」

「いやむしろ良かっただろ。あんな事あってもどうせお前、誰にも連絡する気なかっただろ?」

ギクっとしたのがわかった。
ちょうど信号待ちで停車する。
俺は那智を見る。

「那智。もっと周りに頼れ。俺もいるし、維織も美空もいるだろ? お前はもう一人じゃないんだから。な? 逞しすぎんだよ、フライパン持ってよ。びっくりしたわ」

あれで急にぶん殴られなくて良かったわ。
一人で応戦する気だったよな絶対。
ほんと危ねぇ。
心配でたまらん。
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