副社長は輝きを秘めた彼女を暴きたい
『お前んちでよくね? 部屋余ってんだろたくさん』

「いやそれも思ったんだけど…」

『てか、泊めたんだ?』

ニヤニヤしてる絶対。

「なんだよ。悪いかよ。なんもしてねぇよ」

『ははは。何も言ってねぇじゃん。まずわかった。でもうちも今あんまないかもなぁ。お陰様で繁盛してるもんでよ』

「だよな」

『お前がいいなら、那智ちゃんに聞いてみれば? 一緒に住みませんかって。ははは』

「面白がんな」

『いやマジで。お前惚れてんだろ?』

「ば! 馬鹿お前!」

『那智ちゃん、お似合いだと思うぞ? ククククッ』

俺はブチっと電話を切った。

その時ちょうどよく那智が戻って来た。

「あー、スッキリ。絃くん、洗濯回してもいいかな?」

「ああ。好きにしていいよ」

「図々しくてごめんね。絃くんのも一緒に回しちゃう?」

「んじゃ頼もうかな。悪いな」

「全然。こちらこそありがとうだから。それじゃ洗濯機借りるね」

そう言ってまたクルッと向きを変えて戻って行った。

フワッとシャンプーのいい香りが鼻をかすめる。

グッと堪える。
何をだよ。ったく。
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