君との約束
悠の部屋の玄関のドアが開き、悠と唯が入って来た。
悠は唯の頭に手を伸ばすと頭からウイッグを取り
ソファーの上にポンと投げると、
「キヌコさん……なんか、ごめんね。
俺がカフェに連れて行ったばっかりに」
すまなさそうに頭をかく悠。
それを見た唯は、
「悠さん、大丈夫ですよ」
と微笑んだ。
「そう」と悠が呟いた。
「でも、久しぶりですね。
悠さんの部屋に来るの」
と言うと唯は懐かしそうに部屋中を見渡した。
「ん、これ……」と唯が本棚を指差した。
「あ、これね、曲を作る時にイメージするのに
必要だったんだ」
本棚には唯の主演映画『夏の終わりに』の
台本が立てかけられていた。
唯は本棚から台本を取り出すと、パラパラと
ページをめくった。
「悠さん、これって……」
唯は少し驚いた顔で悠を見た。
「あ……それは、イメージするのに
読んでたら、ついね……」
台本には、赤ペンなどで線が引かれ
びっしりと文字が書き込まれていた。
「職業柄、読み始めたら映画の世界に
入り込んでしまって……」
悠を見た唯、ニコッと笑うと
「そうなんですね。それで、
悠さんの好きなセリフありましたか?」
「俺たち、一緒にいてはいけないこと
くらいわかってる。
でも、せめて、今日、今この時だけは
何もかも忘れて俺の胸に飛び込んできなよ。
少しの時間でいい、君と一緒にいたい」
真顔になった悠が季里也のセリフを言った。
唯は悠がまるで共演者だと錯覚してしまうくらいに
完璧なまでにセリフを言ったことに驚き、
「さ、さすが悠さん、凄いですね。
セリフの言い回し、雰囲気完璧じゃないですか」
「そう? ありがとう。
俺、季里也の代役できるかな?」
「代役どころか、そのまま主演って感じですよ。
凄い! 私、今悠さんの生演技目の前で見られて
物凄く感激してるんですけど……」
目をキラキラさせてる唯に、
「キヌコさん、大袈裟だな」
照れる悠。
「あと、他にないんですか?」
ワクワク顔の唯、
それはもう、どちらが主演かわからないほどに……
「あと? あとは~ここかな?」
と言うと再度 季里矢のセリフを
唯の前で言ってみせた。
「約束しただろ? これからはずっと一緒だ」
と言うと悠が両手を広げて微笑んだ。
それを見た唯は満面の笑みで悠の胸に飛び込んだ。
抱き合う二人。
「……」
「キヌコさん、こんな感じでいい?」
「はい。最高です!」
唯は、悠の身体から離れると、
クルリと後ろを向いた。
彼女の心臓は、悠に聞こえるのではないかと
思うくらいにバクバクしており、
自分でも恥ずかしいくらいだったため
咄嗟に向きを変えてしまったのだった。
「キヌコさん?」と顔を覗き込む悠。
ふたりの休日はまだまだ続く……。
悠は唯の頭に手を伸ばすと頭からウイッグを取り
ソファーの上にポンと投げると、
「キヌコさん……なんか、ごめんね。
俺がカフェに連れて行ったばっかりに」
すまなさそうに頭をかく悠。
それを見た唯は、
「悠さん、大丈夫ですよ」
と微笑んだ。
「そう」と悠が呟いた。
「でも、久しぶりですね。
悠さんの部屋に来るの」
と言うと唯は懐かしそうに部屋中を見渡した。
「ん、これ……」と唯が本棚を指差した。
「あ、これね、曲を作る時にイメージするのに
必要だったんだ」
本棚には唯の主演映画『夏の終わりに』の
台本が立てかけられていた。
唯は本棚から台本を取り出すと、パラパラと
ページをめくった。
「悠さん、これって……」
唯は少し驚いた顔で悠を見た。
「あ……それは、イメージするのに
読んでたら、ついね……」
台本には、赤ペンなどで線が引かれ
びっしりと文字が書き込まれていた。
「職業柄、読み始めたら映画の世界に
入り込んでしまって……」
悠を見た唯、ニコッと笑うと
「そうなんですね。それで、
悠さんの好きなセリフありましたか?」
「俺たち、一緒にいてはいけないこと
くらいわかってる。
でも、せめて、今日、今この時だけは
何もかも忘れて俺の胸に飛び込んできなよ。
少しの時間でいい、君と一緒にいたい」
真顔になった悠が季里也のセリフを言った。
唯は悠がまるで共演者だと錯覚してしまうくらいに
完璧なまでにセリフを言ったことに驚き、
「さ、さすが悠さん、凄いですね。
セリフの言い回し、雰囲気完璧じゃないですか」
「そう? ありがとう。
俺、季里也の代役できるかな?」
「代役どころか、そのまま主演って感じですよ。
凄い! 私、今悠さんの生演技目の前で見られて
物凄く感激してるんですけど……」
目をキラキラさせてる唯に、
「キヌコさん、大袈裟だな」
照れる悠。
「あと、他にないんですか?」
ワクワク顔の唯、
それはもう、どちらが主演かわからないほどに……
「あと? あとは~ここかな?」
と言うと再度 季里矢のセリフを
唯の前で言ってみせた。
「約束しただろ? これからはずっと一緒だ」
と言うと悠が両手を広げて微笑んだ。
それを見た唯は満面の笑みで悠の胸に飛び込んだ。
抱き合う二人。
「……」
「キヌコさん、こんな感じでいい?」
「はい。最高です!」
唯は、悠の身体から離れると、
クルリと後ろを向いた。
彼女の心臓は、悠に聞こえるのではないかと
思うくらいにバクバクしており、
自分でも恥ずかしいくらいだったため
咄嗟に向きを変えてしまったのだった。
「キヌコさん?」と顔を覗き込む悠。
ふたりの休日はまだまだ続く……。