君との約束
第四章

季里也の告白

 季里也と唯のスクープが
雑誌に掲載されてから数日後、
事務所の廊下を歩く季里也。

 季里也が前方の人影に気づき立ち止まった。
 そこには壁にもたれかかっている悠の姿、

 季里也は悠に元に歩いて行くと、
「悠さん、おはようございます」
 と挨拶をした。

「季里也、写真記事の件迷惑かけてすまない。
ありがとう」
 と頭を下げる悠。

「悠さん、やめてくださいよ。
 らしくないですよ。
 俺は、大丈夫ですから。
 それに、YUIちゃんとなら、俺全然大丈夫ですから」

 頭を上げた悠が「そうなんだ」
 と呟いた。
 
「あ……ほら、彼女とは養成所時代からの
戦友だし。それに、俺、彼女の
デビュー前のことを知ってる唯一の男っていうか。
 だからいいんですよ」
 と季里也が自信気に言った。

 「そうか……」
 
 「でも、社長から悠さんとYUIちゃんの
記事見せられた時にはマジで驚きましたけど」
 
 「何で?」
 
 「だって……リアル感凄かったから、本当につき合って
んのかって思ってしまいましたもん。
 でも、誤解だったって聞いて安心しましたけど……」

 「安心?」
  
 「はい。もし、悠さんとYUIちゃんがマジでつき合って
たら俺勝ち目なないですもん」
  
 「季里也、何言ってんだよ」
  
 「あ~でも、悠さんにその気がないなら俺にも、
希望があるのかな~って思って。
 だから、俺 今回の件はフェイクでも嬉しいん
ですよね。
 YUIちゃん独り占め出来てるみたいで」
 と季里也が嬉しそうに言った。

 黙り込む悠……。

 「悠さん、
このことは内緒にしといてくださいね、
YUIちゃん困らせたくないんで」
 と季里也は両手を合わせた。

 「わかったよ」
    
 「じゃあ、俺 これから撮影なんで」
 と言うと季里也や悠も元から歩き去った。

 季里也から突然の告白に動揺する悠、
廊下を歩き出し事務所内のスタジオに入って行った。
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