君との約束
緊張するね
唯と季里也の主演映画の撮影が
クランクインした。
報道各社は一斉にこの話題を報道した。
SNSでもトレンド入りするなど、
世間からの注目度も上がっていた。
一方で、映画の主題歌を『RAIN』が担当する
ということで、音楽業界でも注目される
作品となっていた。
「悠……どうだ?」と友が聞いた。
「あ~、うん、ボチボチかな?」
「その様子じゃ、まだビビビって
きてね~だろ?」
「まぁな。まだ、イメージがね……」
と言うと悠はボイスレコーダーを
片手に外に出て行った。
「悠、どんな感じだ?」
と江口が聞いてきた。
「う~ん、まだまだですかね……」
「レコーディングとかもあるからな」
と少し不安そうな江口。
「大丈夫ですよ。アイツはやる男なんで
しっかりと仕上げてくれますよ」
と友が言った。
撮影現場では、伊藤監督の支持が飛び、
「カア~ット」の声が響き渡る。
次の撮影までの間休憩に入る唯と季里也。
「ふ~、緊張するよね。伊藤監督がいると
安心もするけど、その倍以上に緊張するね
まるでレッスン受けてた時みたいに……」
「あ、それわかるな。
私、怒られそうで。
最初はオドオドしてたらメガフォンで大きな声で
緊張するな~って叫ばれた」
「そうなんだ。お互い頑張ろうな。
そう言えばさ、近いうちに『RAIN』の友さんと悠さんが
撮影現場に来るんだって……」
「え……何で?」
「何か……曲作りの参考にしたいらしい。
俺らの芝居を観て雰囲気とか曲をイメージしたり」
「それっていつ?」
「それは、わかんないよ」
「そんな。それまで毎日緊張してなきゃ
いけないってことだよね?」
「んな、唯ちゃん大袈裟だな……」
と笑う季里也。
悠が現場を観に来るかもしれないと
季里也から聞いた唯は、明らかに動揺し
その後の撮影で珍しくNGを出して、
周りを驚かせたのだった。