君との約束
『俺』のほうが
カシャ カシャ カシャとシャッターを切る音が
スタジオ内に響き渡る。
「はい、悠君いいよ。
その表情、そのままYUIちゃんの肩に手を置いて、
そう、そう」
カシャ カシャ カシャとシャッターが押される。
「YUIちゃん、いいよ、凄くいいよ。
はい。その笑顔、貰うよ……」
軽快なカメラマンの声も響く。
今日は、ファッション雑誌の撮影に臨む唯と悠。
撮影の合間に、他の雑誌のインタビューを受ける二人。
悠と唯は連日一緒に仕事をする。
プライベート以外では、毎日会ってる二人だった。
「キヌコさん、大丈夫? 少し顔色悪くない?
ちゃんと寝てる?」
と悠が言った。
「はい。最近あんまり、眠れなくて疲れすぎてるんでしょうかね?」
「リフレッシュ出来てる?」
「出来てないですね。
料理もする暇ないくらいに忙しくて最近はいつ休んだ? みたいな……」
と呟く唯。
「それは大変だ……YUIちゃん、ちゃんと休まないと。
身体壊れちゃうよ」
後ろから、季里也が声をかけた。
二人が振り向くと、
「悠さん、お久しぶりです。お忙しそうですね。
今日は、宜しくお願いします」
と微笑みながら季里也が二人の隣に座った。
今日の撮影は、悠とYUI、そして季里也を加えた三人での
撮影も予定されていた。
「俺、YUIちゃんとの撮影久しぶりだから緊張するな~」
「季里也君、何言ってるの?」
と笑って季里也に話かける唯、
「YUIちゃん、最近無理してるだろ?
ちゃんと、食べてないでしょ?
ほら、食べなよ……」
と言うと季里也は、小さな箱を唯に渡した。
「あ~○〇堂のサンドウィッチ
それも、私が大好きなハムたまごだ」
と喜ぶYUI。
YUIの嬉しそうな顔を見た季里也、
「よかった。YUIちゃん、疲れてても
これならよく食べてたでしょ?」
「これ、わざわざ、買って来てくれたの?
ありがとう」
「いいよ。元相棒としては嬉しいよ」
「季里矢君、あのね、そのことなんだけど」
とYUIが言いかけたその時、
「YUIちゃん、メーク直しです」
とスタッフから呼ばれると、
YUIは、悠と季里也から離れて行った。