君との約束

初めまして

　数日後、伊藤監督が共演者スタッフに言った。
「今日は、撮影の現場に『RAIN』の
　友さんと悠さんが来ることになっている。
　曲のイメージ作りをしたいとのことで、
先日連絡した、シーンから撮影する。
　季里也　唯　二人におまえらの
創りだす世界観を十分に観てもらえ……」

　「あ～、ほら、また見えないプレッシャーを……
監督好きだよな～こんなの」
　と季里也が言った。

「よりによって、互いの気持ちを
確かめ合うシーンなんて」と呟く唯。

　暫くして、スタッフの声が　現場に響き渡った。
「皆さん、『RAIN』の友さんと悠さんです」
　現場の皆が一斉に二人に視線を送った。

　悠と友は、伊藤監督の元へ歩いて行く。
「初めまして、『RAIN』の友と申します」
「初めまして、同じく悠と申します。
　今日は、現場におじゃまさせていただき
申し訳ありません」

　二人の言葉を聞いた伊藤は、
「監督の伊藤です。こちらこそ、
今日は、わざわざ来ていただいて
ありがとうございました。
　主演の二人をご紹介しますね」
　と言うと伊藤は、唯と季里也を
　呼んだ。

「友君、悠君、こちらが今回の映画の主演を務める
酒井季里也とYUIです。
　季里也とは同じ事務所なんですよね？
　はじめましては、YUIくらいですか？」
　と言った。

　唯と季里也が二人に挨拶をした。

「改めまして、友さん、悠さん、
今日は来ていただいてありががとう
ございます。
　参考になるように俺、頑張ります」
　とはりきり口調の季里也。

　季里也の挨拶を聞いた二人は苦笑する。

「友さん、悠さん……『はじめまして』
　『YUI』と申します。えと……
よろしくお願いします」
　と緊張気味に唯が言った。

「YUIちゃん初めましてかどうか、
デビュー前に一度見かけてたけど。
　改めまして、『RAIN』の友です。
　俺、YUIちゃんのファンなんだ。
　今回、一緒にお仕事出来て嬉しいな
よろしくね」と友が言った。

「あ……友さん、こちらこそ
よろしくお願いします」

　友の横に立っていた悠がゆっくりと
した口調で唯に話かけた。

「え……と、『はじめまして』悠です。
　よろしく……お願いします」
　と小声で言った。

　それを聞いた友、
「え……何……悠、おまえ緊張してるの？
　コイツが緊張するとこなんて見たこと
ないんだけど、YUIちゃんの前だと……」
　と笑いながら言った。

「ば・ばか、何言ってんの？」
　と口を尖らす悠。

　それを見た唯は、
「フフフ、悠さん、こちらこそ、
これからよろしくお願いします」
　と言った。

「撮影スタートしま～す」
　とスタッフの声が現場に響いた。
　唯と季里也は二人に会釈をすると
スタンバイを始めた。