君との約束

『先輩』のことば

 体調が戻り、心身ともにすっかり元気になった唯が
事務所の社長室にやって来た。

 「雅社長 田代マネージャー、大変ご迷惑を
おかけしました。
 スケジュール調整や休養まで、本当にありがとうございました」
 と頭を下げる唯。
 
 雅が唯の傍に歩み寄ると、
 「唯、頭を上げて、もう大丈夫なの?
 こちらこそ、ごめんなさいね。
 あなたの状態を把握してなくて、我々の責任ね」
と言った。

 「そんなことありません。
 私もちゃんと、自分のことを話せてたらよかった
なって。
 だから、これからは辛かったり、しんどかったりした時にはちゃんと話します」と唯が言った。

 唯は深々とお辞儀をすると社長室を出て行った。

 事務所ビル内のカフェに立ち寄った唯、
席につくと珈琲カップに口を付けた。

 「唯ちゃん、体調はもういいの?」
 と唯に一人の女性が声をかけてきた。

 「葉月さん……」と呟く唯。
 女性は優しく微笑むと、
 「隣いいかしら?」と言い唯の隣に座った。
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