君との約束
唯の隣に座る女性、
唯の所属事務所『Mエンターテイメント』
所属、唯の大先輩、有名女優の『葉月』
彼女は最近、同じ事務所所属のイケメン俳優
『高島 涼』と結婚を発表したばかりだった。
「葉月さん、ご結婚おめでとうございます。
直接、お祝いが言えてなくて、すみません」
と申し訳なさそうに唯が言った。
「いいのよ。別に、それより唯ちゃんは
体調はもういいの?
倒れたって聞いたから」
「はい。お休みもらって、リフレッシュできました。」
唯の顔を見た葉月、
「唯ちゃんって、好きな男性(人)いるでしょ?」
「え? どうしてそんなこと聞くんですか?」
「え……何となくそう思って、
忙しくて、なかなか会えないんじゃないのかな?
だから、心身ともに疲れちゃったってとこかしら?」
葉月の言葉に少し驚いた唯だったが、
「はは、流石! 葉月さんあたりです」
「そう……」
「でも、大丈夫になりましたから」
「まぁ、この仕事を続けていく場合、
『恋人をつくらない』、『恋人と別れる』、
『恋人を傷つけてしまう』、
『恋人に会えない』、
『仕事一筋』のいずれかになるからね。
『恋人はほしい、会いたい、仕事もしたい』
全部いいとこ取りは難しいもんね。
何かを犠牲にして成り立つ職業だし」
「そうですよね。この業界に入って嫌と言うほど
わかりました。
葉月さんは、その……涼さんとの出会いは?
結婚まではスムーズにいったんですか?」
と唯が葉月に尋ねた。
葉月は唯に彼等二人のことを話し出す。
「私? そうだね、私と彼(高島涼)との
最初の出逢いは彼がこの世界に入る前、
本当に偶然の出来事で……
私は、当時駆け出しのモデルだった。
しばらくすると彼が私の後を追うように
この世界に入ってきたの」
「それでどうなったんですか……?」
興味深々の唯、
「私達ふたりを見つけ出してくれたのが
あなたもよく知ってる……伊藤監督よ」
「伊藤監督ですか?」驚く唯。
唯の先輩、『葉月』と『高島涼』は
あの伊藤監督が見つけ出し育てあげ、
現在は世界に通用する役者。
伊藤三部作と言われ、二人を主役とした作品は大ヒットした。
二人の結婚を機に伊藤は新たな役者を育てる
プロジェクト。
いわゆる『伊藤塾・養成所』を創設し若手俳優を
育てはじめていたのだった。
葉月は唯の顔を見て微笑むと、
「彼との再会はCMのオーディションだった」
「劇的な再会だったんですね」
「残念ながら、その時 私は彼のこと忘れてた的な
感じだったの。
私が思い出すのに時間かかっちゃったんだけど」
「涼さんはそのことは知ってたんですか?」
「もちろん知ってた。でも、私はその時すでに女優業が
安定してて、彼は、まだデビューしたての俳優だった
から……共演するまで時間がかかったの」
「でも、ふたりを引き合わせたのは何だったんですか?」
「二人を引き合わせたのは『共演した作品』、そして一緒に作品を創ることによって世間の人達を味方につけた」
「あの、有名なドラマですね……」
「でも、作品のイメージがあまりにも強すぎたために、
次作の役づくりのため、私達数年間共演NGになっちゃっ
たの」
「数年間も共演NG……。
そうだったんですか。私はてっきり……」
葉月は笑うと、
「不仲説でしょ? そうなのよ。世間って本当に
『噂を掻き立てたり』『勝手に想像する』ことが多くね。
だから、真実はそういうことだったの」
「知らなかったです……」と唯が呟いた。
唯の所属事務所『Mエンターテイメント』
所属、唯の大先輩、有名女優の『葉月』
彼女は最近、同じ事務所所属のイケメン俳優
『高島 涼』と結婚を発表したばかりだった。
「葉月さん、ご結婚おめでとうございます。
直接、お祝いが言えてなくて、すみません」
と申し訳なさそうに唯が言った。
「いいのよ。別に、それより唯ちゃんは
体調はもういいの?
倒れたって聞いたから」
「はい。お休みもらって、リフレッシュできました。」
唯の顔を見た葉月、
「唯ちゃんって、好きな男性(人)いるでしょ?」
「え? どうしてそんなこと聞くんですか?」
「え……何となくそう思って、
忙しくて、なかなか会えないんじゃないのかな?
だから、心身ともに疲れちゃったってとこかしら?」
葉月の言葉に少し驚いた唯だったが、
「はは、流石! 葉月さんあたりです」
「そう……」
「でも、大丈夫になりましたから」
「まぁ、この仕事を続けていく場合、
『恋人をつくらない』、『恋人と別れる』、
『恋人を傷つけてしまう』、
『恋人に会えない』、
『仕事一筋』のいずれかになるからね。
『恋人はほしい、会いたい、仕事もしたい』
全部いいとこ取りは難しいもんね。
何かを犠牲にして成り立つ職業だし」
「そうですよね。この業界に入って嫌と言うほど
わかりました。
葉月さんは、その……涼さんとの出会いは?
結婚まではスムーズにいったんですか?」
と唯が葉月に尋ねた。
葉月は唯に彼等二人のことを話し出す。
「私? そうだね、私と彼(高島涼)との
最初の出逢いは彼がこの世界に入る前、
本当に偶然の出来事で……
私は、当時駆け出しのモデルだった。
しばらくすると彼が私の後を追うように
この世界に入ってきたの」
「それでどうなったんですか……?」
興味深々の唯、
「私達ふたりを見つけ出してくれたのが
あなたもよく知ってる……伊藤監督よ」
「伊藤監督ですか?」驚く唯。
唯の先輩、『葉月』と『高島涼』は
あの伊藤監督が見つけ出し育てあげ、
現在は世界に通用する役者。
伊藤三部作と言われ、二人を主役とした作品は大ヒットした。
二人の結婚を機に伊藤は新たな役者を育てる
プロジェクト。
いわゆる『伊藤塾・養成所』を創設し若手俳優を
育てはじめていたのだった。
葉月は唯の顔を見て微笑むと、
「彼との再会はCMのオーディションだった」
「劇的な再会だったんですね」
「残念ながら、その時 私は彼のこと忘れてた的な
感じだったの。
私が思い出すのに時間かかっちゃったんだけど」
「涼さんはそのことは知ってたんですか?」
「もちろん知ってた。でも、私はその時すでに女優業が
安定してて、彼は、まだデビューしたての俳優だった
から……共演するまで時間がかかったの」
「でも、ふたりを引き合わせたのは何だったんですか?」
「二人を引き合わせたのは『共演した作品』、そして一緒に作品を創ることによって世間の人達を味方につけた」
「あの、有名なドラマですね……」
「でも、作品のイメージがあまりにも強すぎたために、
次作の役づくりのため、私達数年間共演NGになっちゃっ
たの」
「数年間も共演NG……。
そうだったんですか。私はてっきり……」
葉月は笑うと、
「不仲説でしょ? そうなのよ。世間って本当に
『噂を掻き立てたり』『勝手に想像する』ことが多くね。
だから、真実はそういうことだったの」
「知らなかったです……」と唯が呟いた。