君との約束

心配性の『友』


 リハーサル室にやって来た悠、季里也、友の三人。
 用意された椅子に座ると台本を開く。

 「なぁ……悠……このシーンと、このセリフなんか
やばくない?」
 と友が悠に言った。

 「だってさ、もろじゃね?」
 と心配そうに言う友。
 「セリフだぞ。・セ・リ・フ・」
 と悠が答える。

 「そうですよ、ただのセリフですよ。
 ね、悠さん……」
 と季里也が含み笑いをした。
 季里也の態度を見た友、
 「季里也……今の言い方なんだよ」
 少し、語気を強めた。

 台本を読んでいた悠が顔を上げ季里也を見ると
季里也は、
 「じゃあ、そろそろ、決着つけてもいいんじゃ
ないですか?
 互いに心の中に溜め込むよりいいでしょ?」
 と言った。
 
 「そうだな、
そろそろはっきりさせようか」
 と悠も言った。

 季里也がスタッフに呼ばれ部屋から出ていき
 悠と友がふたりきりになる。
 友が悠を見ると、
 
 「ほらぁ~、いくら互いのセリフとはいえ、
リアルすぎるんだよ。リアルすぎ……
俺、明日の本番、超心配なんだけど……」

 「超心配って何がだよ? 友 おまえだって
セリフあるだろ? それに大事な役目がさ」

 「そうだけど。だから、心配なの!」
 と友が言った。

 「友は心配性だな……」と悠が呟いた。
 「ちがう。心配性じゃなくて、俺は仲間思いな
だけなんだ!」
 と友が言った。
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