君との約束
『これってガチじゃね?』
次の日の撮影は、悠と季里也、友の三人が
メインのシーンは、屋外での撮影が行われる。
ロケ現場に三人を乗せたワゴン車が到着する。
ワゴン車のドアが開き車内から三人が
降りて来た。
ロケ地に選ばれたのは、とある牧場と
その近くの高台にあるペンション。
伊藤監督から、段取りと手順の確認が行われる。
段取りを頭に入れた悠、季里也、友が配置に着く。
「カメラ……アクション」と屋外に響く声、
牧場の入り口に車を停めた悠のもとへ季里也が歩み寄り襟元を掴むと、
「彼女はどこだ? ここにいるんだろ?」
と語気を荒げる。
「あんた、こんな所まで彼女を追いかけてきたのか?」
と悠が掴まれた襟元から手を払いのける。
「おまえ、人の女に手を出しといて何様のつもりだ」
と季里也が悠に向かって言った。
「は? あんなこと平気でしておいて何が自分の女だ。
彼女を傷つけて」と拳を握る悠。
「じゃあ、そろそろ、決着つけてもいいんじゃ
ないですか?
互いに心の中に溜め込むよりいいでしょ?」
と季里也が笑いながら言った。
「そうだな、
そろそろはっきりさせようか」
と悠が季里也の前に立った。
互いに睨み合いを続けるふたり。
そこへ、友が牧場内から出て来た。
ふたりの姿を見た友が慌てて駆け寄ってきた。
二人の間に割って入ると、
「ちょっと、あんた達なにしてるの」
とふたりを制止しようとするが、
季里也と悠が互いを掴むと、取っ組み合いをはじめた。
季里也が悠を押し倒し、馬乗りになると、
「俺の方が、彼女のことずっと前から愛してたんだ。
なのに、おまえが彼女の前に現れなければ……」
と言った。
悠が季里也の身体を突き飛ばすと、
「俺の方が、彼女のこと誰よりも理解してる。
あんたなんかに、彼女のこと渡さない。
俺は、彼女を愛してる、絶対に幸せにする」
と言った。
二人を止めに入ったはずの友が思わず、
「俺だって、本気で彼女のことを愛してたんだ~」
と言いながら二人の襟元を掴んだ。
「え?」
「は?」
一瞬、悠と季里也の目が合ったが、興奮した友は
「わぁ~」っと叫ぶと悠と季里也の二人の顔を次々と
殴った。
地面に倒れ込む悠と季里也、
「痛ってぇな~。何するんだこの野郎……」
と悠が友につかみかかると友の頬を殴った。
「ちょっと……」と小声で囁き季里也が二人の間に入る。
ボカッ……。悠の蹴りが季里也のみぞおちに入って
しまった。
「あ……」と悠が季里也の顔を見た。
「ううう……」うずくまった季里也が、
「痛ってな~マジで……」と言うと悠に襲いかかった。
「この野郎」
「マジ、なんなんだ」
「何がだよ」
「むかつくんだよ」
「この、イケメン野郎」
「はぁ~? 何言ってんの」
「じゃあ、正々堂々と勝負しろよ」
「望むところだ」
悠と季里也と友の三人は次々と殴り合いを始めた。
それを見た、助監督が伊藤に言った。
「監督……これ、途中からアドリブに変わってませんか?
喧嘩のシーンのはずが場外乱闘になってますが……
あ~あ、顔殴ってますよ。大丈夫ですかね?
カメラ 止めますか?」
助監督の言葉を聞いた伊藤はニヤニヤしながら、
「いや、これでいい。アイツ等も役者だ、
傷にならない程度に旨く殴り合ってるから大丈夫だ。
しばらく続けさせろ」
と言った。
乱闘が始まり十数分後、ようやく「カット~」の声がかかり、
三人は、肩が上下するくらい呼吸が荒くなり、傷だらけでその場に『大の字』に倒れ込んだ。
メインのシーンは、屋外での撮影が行われる。
ロケ現場に三人を乗せたワゴン車が到着する。
ワゴン車のドアが開き車内から三人が
降りて来た。
ロケ地に選ばれたのは、とある牧場と
その近くの高台にあるペンション。
伊藤監督から、段取りと手順の確認が行われる。
段取りを頭に入れた悠、季里也、友が配置に着く。
「カメラ……アクション」と屋外に響く声、
牧場の入り口に車を停めた悠のもとへ季里也が歩み寄り襟元を掴むと、
「彼女はどこだ? ここにいるんだろ?」
と語気を荒げる。
「あんた、こんな所まで彼女を追いかけてきたのか?」
と悠が掴まれた襟元から手を払いのける。
「おまえ、人の女に手を出しといて何様のつもりだ」
と季里也が悠に向かって言った。
「は? あんなこと平気でしておいて何が自分の女だ。
彼女を傷つけて」と拳を握る悠。
「じゃあ、そろそろ、決着つけてもいいんじゃ
ないですか?
互いに心の中に溜め込むよりいいでしょ?」
と季里也が笑いながら言った。
「そうだな、
そろそろはっきりさせようか」
と悠が季里也の前に立った。
互いに睨み合いを続けるふたり。
そこへ、友が牧場内から出て来た。
ふたりの姿を見た友が慌てて駆け寄ってきた。
二人の間に割って入ると、
「ちょっと、あんた達なにしてるの」
とふたりを制止しようとするが、
季里也と悠が互いを掴むと、取っ組み合いをはじめた。
季里也が悠を押し倒し、馬乗りになると、
「俺の方が、彼女のことずっと前から愛してたんだ。
なのに、おまえが彼女の前に現れなければ……」
と言った。
悠が季里也の身体を突き飛ばすと、
「俺の方が、彼女のこと誰よりも理解してる。
あんたなんかに、彼女のこと渡さない。
俺は、彼女を愛してる、絶対に幸せにする」
と言った。
二人を止めに入ったはずの友が思わず、
「俺だって、本気で彼女のことを愛してたんだ~」
と言いながら二人の襟元を掴んだ。
「え?」
「は?」
一瞬、悠と季里也の目が合ったが、興奮した友は
「わぁ~」っと叫ぶと悠と季里也の二人の顔を次々と
殴った。
地面に倒れ込む悠と季里也、
「痛ってぇな~。何するんだこの野郎……」
と悠が友につかみかかると友の頬を殴った。
「ちょっと……」と小声で囁き季里也が二人の間に入る。
ボカッ……。悠の蹴りが季里也のみぞおちに入って
しまった。
「あ……」と悠が季里也の顔を見た。
「ううう……」うずくまった季里也が、
「痛ってな~マジで……」と言うと悠に襲いかかった。
「この野郎」
「マジ、なんなんだ」
「何がだよ」
「むかつくんだよ」
「この、イケメン野郎」
「はぁ~? 何言ってんの」
「じゃあ、正々堂々と勝負しろよ」
「望むところだ」
悠と季里也と友の三人は次々と殴り合いを始めた。
それを見た、助監督が伊藤に言った。
「監督……これ、途中からアドリブに変わってませんか?
喧嘩のシーンのはずが場外乱闘になってますが……
あ~あ、顔殴ってますよ。大丈夫ですかね?
カメラ 止めますか?」
助監督の言葉を聞いた伊藤はニヤニヤしながら、
「いや、これでいい。アイツ等も役者だ、
傷にならない程度に旨く殴り合ってるから大丈夫だ。
しばらく続けさせろ」
と言った。
乱闘が始まり十数分後、ようやく「カット~」の声がかかり、
三人は、肩が上下するくらい呼吸が荒くなり、傷だらけでその場に『大の字』に倒れ込んだ。