恋はレモンのように
第四章
休日の女子トーク
ある晴れた日曜日、
夏の家に遊びに来たひとみ。
二人は、夏の部屋でお菓子を広げ、
ファッション雑誌を広げ、アイドル誌を広げ、
ベッドには、買ったばかりの洋服を広げ、
互いの恋バナに華を咲かせる……。
「ね~、夏、あれからどうなの?」
興味津々のひとみが話を切り出す……。
「どうって……」
「川内部長と恭介君のことに
決まってるじゃない」
「あ~、うん。部長には、モデルの件了承した」
「え? うそ……それって……」
「別に、付き合うとかじゃないし、それに、
部長の創作活動には協力しないとね……」
「で、肝心の部長は何て言ったの?」
「ありがとうって……来月からお願いねって」
「ふ~ん、部長意外と長期戦狙ってるのか」
ひとみが呟く。
「ん? ひとみちゃんなんか言った?」
「いや、別になんでもないよ。で、恭介君は?」
「恭介は、この前、仲良し幼馴染ってことで
了承してもらった」
「は? なにそれ……仲良し幼馴染って」
「別に……仲良しで、一番近くにいる人?
って意味かな?」
「で、恭介君は何て?」
「うん、それでいいって……言ってた」
夏の話を聞いたひとみは、
「夏~、君は罪深いよ。今時、仲良し幼馴染って
言葉……死語だよ。恭介君の心中お察しします」
ひとみが両手を合わせた。
「え? ひとみちゃん、
何でそんなこと言うの?」
ひとみは、ふ~っと息を吐くと夏の目を見て言った。
「夏~、あのね、仲良し幼馴染ってさ、要するに
あなたには特別な感情はございません。隣にいては
いいけど、ただの幼馴染でそれ以上の進展はない!
って言ってるだけだからね。
体のいい断り文句だよ。
で、学校一のモテ男君の恭介君を
何だかんだ言って近くに置いておきたい的な……
私が夏の親友じゃなかったら、ぜ~ったいそう思うよね。
それに、川内先輩も、結構いい男で、意外に
人気あるんだよ……」
「そう……なんだ。私、そこんとこ鈍感だし」
「本当だよ。それで、よく『恋をしたい』
なんて言えるよね~。それよりさ、夏は『キュン』
とか『ドキドキ』とかしないの?」
ひとみの質問に夏は……
「あるよ。実はさ、この前、葉山先生と倉庫で
探し物してた時に脚立から落ちて、その時
葉山先生が私を受け止めてくれたんだ……
先生の顔が近くに寄ってきた時に『ドキッ』
としたんだ。それから……同時に恭介が駆け寄って
くる姿を見た瞬間にも『ドキドキ』って……」
「えっ? 恭介君にドキドキ?
葉山先生にもドキドキ?
もしかして、川内先輩にも?」
「うん……そうだけど」
「夏~、あんたには特別な感情が同時に
三人の男性に芽生えつつあるのかね?」
「特別な感情? 同時に三人に?」
「そうだよ! そうに違いない。
いや~、夏が三人の男性に同時に興味を
持つなんて……面白くなってきた」
「ひとみちゃん、これって恋のはじまりなの?」
「う~ん、ちょっとニュアンス違うけど……
夏にとっては、ある意味そうかも。最終的に
あんたが、好きになる人が誰になるのか……
私は、親友として見守りたい! 夏頑張るんだよ」
「う…うん、頑張るよ」
ひとみから、自分がいつの間にか
三人の男性に興味を持っていることに
気づかされた夏……
『恋に憧れる』女子高生は、
自分に訪れた『恋のチャンス』に
戸惑いと期待を胸に目を輝かせた。
しかし、そんな彼女に、ハリケーン並みの
大風が吹き荒れようとしていた……。
夏の家に遊びに来たひとみ。
二人は、夏の部屋でお菓子を広げ、
ファッション雑誌を広げ、アイドル誌を広げ、
ベッドには、買ったばかりの洋服を広げ、
互いの恋バナに華を咲かせる……。
「ね~、夏、あれからどうなの?」
興味津々のひとみが話を切り出す……。
「どうって……」
「川内部長と恭介君のことに
決まってるじゃない」
「あ~、うん。部長には、モデルの件了承した」
「え? うそ……それって……」
「別に、付き合うとかじゃないし、それに、
部長の創作活動には協力しないとね……」
「で、肝心の部長は何て言ったの?」
「ありがとうって……来月からお願いねって」
「ふ~ん、部長意外と長期戦狙ってるのか」
ひとみが呟く。
「ん? ひとみちゃんなんか言った?」
「いや、別になんでもないよ。で、恭介君は?」
「恭介は、この前、仲良し幼馴染ってことで
了承してもらった」
「は? なにそれ……仲良し幼馴染って」
「別に……仲良しで、一番近くにいる人?
って意味かな?」
「で、恭介君は何て?」
「うん、それでいいって……言ってた」
夏の話を聞いたひとみは、
「夏~、君は罪深いよ。今時、仲良し幼馴染って
言葉……死語だよ。恭介君の心中お察しします」
ひとみが両手を合わせた。
「え? ひとみちゃん、
何でそんなこと言うの?」
ひとみは、ふ~っと息を吐くと夏の目を見て言った。
「夏~、あのね、仲良し幼馴染ってさ、要するに
あなたには特別な感情はございません。隣にいては
いいけど、ただの幼馴染でそれ以上の進展はない!
って言ってるだけだからね。
体のいい断り文句だよ。
で、学校一のモテ男君の恭介君を
何だかんだ言って近くに置いておきたい的な……
私が夏の親友じゃなかったら、ぜ~ったいそう思うよね。
それに、川内先輩も、結構いい男で、意外に
人気あるんだよ……」
「そう……なんだ。私、そこんとこ鈍感だし」
「本当だよ。それで、よく『恋をしたい』
なんて言えるよね~。それよりさ、夏は『キュン』
とか『ドキドキ』とかしないの?」
ひとみの質問に夏は……
「あるよ。実はさ、この前、葉山先生と倉庫で
探し物してた時に脚立から落ちて、その時
葉山先生が私を受け止めてくれたんだ……
先生の顔が近くに寄ってきた時に『ドキッ』
としたんだ。それから……同時に恭介が駆け寄って
くる姿を見た瞬間にも『ドキドキ』って……」
「えっ? 恭介君にドキドキ?
葉山先生にもドキドキ?
もしかして、川内先輩にも?」
「うん……そうだけど」
「夏~、あんたには特別な感情が同時に
三人の男性に芽生えつつあるのかね?」
「特別な感情? 同時に三人に?」
「そうだよ! そうに違いない。
いや~、夏が三人の男性に同時に興味を
持つなんて……面白くなってきた」
「ひとみちゃん、これって恋のはじまりなの?」
「う~ん、ちょっとニュアンス違うけど……
夏にとっては、ある意味そうかも。最終的に
あんたが、好きになる人が誰になるのか……
私は、親友として見守りたい! 夏頑張るんだよ」
「う…うん、頑張るよ」
ひとみから、自分がいつの間にか
三人の男性に興味を持っていることに
気づかされた夏……
『恋に憧れる』女子高生は、
自分に訪れた『恋のチャンス』に
戸惑いと期待を胸に目を輝かせた。
しかし、そんな彼女に、ハリケーン並みの
大風が吹き荒れようとしていた……。