恋はレモンのように
第二章

美術鑑賞

 日曜日、夏とひとみ、そして恭介の
三人は、美術館の前に到着する。
 「すごいね~。美術館は、佇まいから違う」
 美術館を見上げ、夏がそう呟いた。

 「でしょ? 行こうよ。恭介君も、早く!」 
 ひとみが恭介を呼んだ。
 三人は、美術館の中へ入って行った。

 受付を済ませ、三人は展示室へ向かった。

 展示室前には、係員が常駐しており、
パンフレットと特別展示室の案内を配布していた。

 パンフレットに目をとおしながら、展示室に
入っていく三人……。

 「ここからは、三人とも自由に観ていこうよ」
 ひとみが言った。
 「そうだね。じゃあ、一時間後、展示室出口で!
 あとは、各自ラインで連絡ね」
 夏が言うと、呆れ顔の啓介が、
 「三人、バラバラで観るの? じゃあ、三人で
来た意味ないじゃん……」

 啓介の言葉に顔を見合わせた夏とひとみは、
クスッと笑うと、
 「あ~、ごめんね。啓介、美術鑑賞ってさ、
個々のペースで観て行くのがいいんだよね。
 ほら、感性の違いってヤツね。」
 夏がそう言うと、頷きながらひとみも、
 「そういうわけなんだよね。啓介君、」
 と言った。
 「わかったよ。じゃあ、俺も自分のペースで
 観て行くよ」
 
 そう言うと、啓介は展示順番の矢印が
掲げてある方向に歩いて行った。 
夏とひとみも各々目当ての展示作品の
場所に歩いて行った。
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