恋はレモンのように

日曜日

 ザー、ザー、ザー……。
 日曜日の朝、夏は外から聞こえる
激しい雨音で目が覚めた。

 ベッドの上に起き上がると、
カーテンを開け窓の外を見ていた。

 「雨、ひどいね……」
 ベッド下に敷かれた布団の中から
寝ぼけ顔のひとみが顔を出すと夏に聞いた。
 「あ~、うん。ジャカジャカ降ってるよ。
まるで、バケツをひっくりかえしたような
大雨……」

 「そう……か。今日のショッピングどうする?」
 呟くひとみに夏が、
 「しばらく様子みようか……。取り合えず、
朝ごはん食べよう……へっくしゅん……」
 「あれ、夏、風邪でもひいた?」
 「大丈夫だよ……へっくしゅん、くしゅん」

 夏とひとみは布団から抜け出すと、
一階のリビングに降りて行った。

 リビングでは、一足先に目覚めた恭介が
ソファーに座り、テレビのお天気情報を
真剣に見ていた。

 「あ、夏、ひとみちゃんおはよう」
 二人に気づいた恭介が身体ごと振り向いた。
 「おはよう、恭介」
 「恭介君、おはよう……」

 「雨、ひどいな~。大雨警報が出てるぞ」
 「え~、そうなんだ。寝てたから全然
気がつかなかったよ」
 「そうなんだ。俺なんか気になってさ、
あんまり熟睡できなかったぞ」

 「恭介君の場合は、ひとりで寝るのが怖くて
じゃないの~?」
 「ち・ちがうよ。それより、腹減った……」
 「じゃあ、朝ごはん作ろうかな……」
 夏は、冷蔵庫から卵やハム、牛乳を取り出した。

 朝食を済ませた三人は、窓際に立ち外を眺める。

 「へっくしゅん……」
 夏がくしゃみをした。
 「ちょっと~、夏大丈夫? 
 さっきから、くしゃみばっかっじゃん」
 「大丈夫だよ……このくらい。クシュン」
 「本当に……?」
 「うん……」

 「あちゃ~、これヤバイんじゃない?」
 テレビの画面に映る天気図見ながら
気象予報士の説明を聞いた恭介が言った。

 「何、何、恭介君、どうしたのよ?」
 ひとみが尋ねた。
 「この地方に、大雨警報と暴風警戒警報が
同時に発令されたってさ……」
 「暴風警報? なにそれ……」
 「台風なみの強さだってさ……風速……的な」
 「え~、暴風雨って……でも今は風吹いてないじゃん」
 「えっと……これから、昼頃から段々ひどくなる
みたいだよ。それに雨雲もしばらく停滞するって」
 
 「ショッピング……行けないね……」
 「え、でもさ、風がひどくなるのは
午後からだろ?
 今から、行けばいいんじゃない? 
 駅併設のショッピングモールだからさ、
大丈夫だよ。
 この雨なら人も少ないよ。
 それに、俺等レインコート
あるじゃん……。
 で、今日は現地解散ってことで……どう?」

 恭介の提案に夏も、
 「そうだね。今から行ってお昼には帰宅すれば
いいね。賛成!」
 「じゃあ、準備して行こう!」

 そう言うと、三人は各々準備を始めた。
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