恋はレモンのように
第八章

暴風雨の夜とお留守番……

 「あ~、ずぶ濡れになっちゃった~」
 玄関の中でレインコートを脱いだ夏。
 濡れた靴下のままペタペタと脱衣所に向かう。

 着替えを済ませ、タオルで濡れた髪の毛を
拭きながらリビングにやって来ると、
TVをつけ、情報番組のお天気情報を
見始めた。

 今後、台風なみの勢力に発達する
恐れがあります。
今夜、夕方から明日の早朝にかけて
大荒れの天気になりますので、皆様、停電等に
備えをお願い致します。
 臨時とも思われるコメントを話すキャスター。

 夏は、ショッピングモールで買った目当ての
品物の他に購入した食料品や乾電池等を見つめた。

 「お父さんとお母さん、
ちゃんと帰ってくるのかな?」
 少し不安になった夏……。
 TVのチャンネルを換えると、
旅情報番組を見始めた。

 「へっ、くしゅん……寒い……」
 と言うと夏は、ソファーに置いてあった
膝掛け用のブランケットを身体に巻き付けた。
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