恋はレモンのように
 「もしもし、俊二? そっちはどう?
こっち? もう大変だよ……警報が出てさ。
 で、帰れんの?」

 葉山からの電話に答える矢上……。

 「飛行機が欠航で、帰れなくなった」
 「あ~、やっぱり? だろうと思ってたよ」
 「この分じゃ、夏のご両親も無理だろうな」
 葉山が呟いた。
 
 「そうだね……。でも、今のところ大丈夫
みたいだぜ。アイツ等、この雨の中、
何処かへ出かけてたけどな……あ、でも、
今は帰宅しているみたいだよ。電気ついてるから」

 「そうか……ところで、慎也、頼みがある。
さっき、教頭先生から連絡がきて明日は休校に
なったんだ。それを、生徒に確認して
ほしいんだ。俺のPCの中にアドレス一覧が
あるからさ。
 学校からも一斉送信するらしいんだけど、
念のため、担任は各生徒に確認しておいてくれって。
 もちろん、教頭先生は、今俺が九州にいることは
わかってるから、代わりに矢上先生……
慎也にお願いしてくれって。頼まれてくれるか?」

 「わかった……俊二の部屋のPCね……」
 「じゃあ、頼んだよ……それから、夏のことも」
 と言うと葉山は電話を切った。

 「本当、俊二は生徒思いの担任だね~」
 そう言うと矢上は2階の葉山の部屋に
歩いて行った。
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