恋はレモンのように

特別な存在

 お昼過ぎになると、昨日の天気は
何処に行った?……と言わんばかりの
青空が広がる。

 「ただいま……」
 玄関から葉山がリビングに入って来た。 
 葉山の声に矢上がソファーから起き上がると、
 「おかえり~、大変だったな。お疲れ様……」
 と呟いた。

 「正直、物凄く疲れた。学校とのやり取りとか
ホテルの延長や、飛行機もろもろね。
 こっちはどうだった? 大変だったろ?」

 「あ、あ~、うん。雨風、雷……あとは、
夜に停電になったくらいかな……」

 「停電? 大丈夫だったのかな?」
 「え? 俺? 大丈夫に決まってるじゃん」
 「おまえじゃないよ。夏だよ……昨日一晩
一人だったろ? 一人で……」
 
 「あ……うん、大丈夫だったんじゃね?
別に、SOSの連絡もなかったし……」

 「ふ~ん。そうか……あ、これお土産」
 葉山が九州土産のお菓子を渡した。

 「サンキュ……うわぁ、美味しそうだな。
俺、珈琲入れるよ」

 「ありがとう、じゃあ着換えて来るよ」
 と言うと葉山は二階に上がって行った。
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