恋はレモンのように
 美術室で、美術倉庫で道具を整理する夏……
隣に矢上がやって来た。
 「よ~、お疲れ……」
 「何……ですか? 矢上先生」
 「あのさ……」
 「だから……何?」
 「なにそんなにカリカリしてんの?」
 「別に……で、何か用?」

 「今日さ、部活後少し時間ある?」
 「え? 今なんて……?」
 「だから……部活の後、時間作れる?」

 矢上の言葉に少し戸惑う夏であったが、
 「あ~、うん。いいけど……」
 と返事をすると、
 「じゃあ、部活終わったら、中央公園の広場で
待ってっから……ちゃんと来いよ」
 夏の耳元で矢上が囁くと、夏の頭をポンと
軽く叩き、美術倉庫から出て行った。

 改まってなんだろうな……
 その後、夏は色んな想像をしてしまい、
雑念だらけでまったく集中できない
時間を過ごしたのだった……。
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